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一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

テレビ朝日放送番組『英霊か犬死か ~沖縄から問う 靖国裁判~』にみる「地震ナマズ説」

だいぶ前の話になってしまいますが、定期オチ先(笑)ブログ「Afternoon cafe」にて、同番組の存在を知り、早速youtube↓にて見て見ました。
遅くなりましたが、本日はその感想を、書いてみたいと思います。

◆英霊か犬死か ~沖縄から問う 靖国裁判~ (1)


◆英霊か犬死か ~沖縄から問う 靖国裁判~ (2)


◆英霊か犬死か ~沖縄から問う 靖国裁判~ (3)


この番組では、「沖縄戦遺族の靖国合祀取り消し訴訟」を起こした沖縄戦を体験した戦死した軍人の子供や本人らのインタヴューを通じて、如何に国や靖国に騙されていたかを切々と訴えています。

彼らの訴えを紹介しながら、同番組は、靖国神社を戦争に駆り立てる装置、騙しの装置として描くことを意図しています。
そして、慰霊行為や援護金が、戦死者の遺族を丸め込む手段として描かれているのです。

具体的にどのように描かれているのかは、youtubeをご覧いただければわかると思いますが、私がこの番組の中で、特に違和感を覚えたのが、インタビューされていた沖縄国際大学の名誉教授である石原昌家氏の主張でした。

日本で唯一地上戦があった沖縄では、民間人の死者も戦闘行為に参加したものと見なし、軍人軍属だけが対象の「戦傷病者戦没者遺族等援護法wiki参照」の適用を受けているわけですが、同教授はこれを問題視しているのです。

同教授は、政府が「援護法」を沖縄に適用したのは、「沖縄の住民が軍の犯罪や戦争責任をのちのち追及するであろう」から、「それを予測してこの援護法を適用することで、非常に名誉ある死だったとからめとるもので、その罪を覆いかくすものであった」と結論付けているのです。
そして、戦後の苦しさの中、沖縄の人がこの援護法にとびつくという狙いが国にはあった、と石原氏は指摘しているのです。
更には、この援護法こそ民間人を英霊にし、沖縄戦を見えなくする「ガン」だと彼は指摘しているのです。

(以下↓、そのキャプチャを並べておきます。)
沖縄の民間人は戦闘参加者として扱われた

政府が沖縄に「援護法」を適用したのは

沖縄の住民が軍の犯罪や戦争責任をのちのち追求するであろう

それを予測してこの援護法を適用することで非常に栄誉ある死だったとからめとって行った

その罪を覆いかくすものだった

しかし、なんとまぁ、勝手な主張なのでしょうか。
国が「口封じの意図で援護法を適用した」と決め付けていますが、これって「言いがかり・邪推」の類いとしか思えません。
唯一の地上戦を経験せざるを得なかった沖縄の人々を助けたいという意図を歪め、口封じと断定するとは…。

そもそも、空襲などで死亡した民間人には、この援護法の適用を受けられないのです。
その適用を受けるために、地上戦に巻き込まれた沖縄の民間人も戦闘に参加したと見なして「拡大」解釈しているわけですが、それはあくまでも唯一の地上戦を経験せざるを得なかった沖縄の苦衷を鑑みた故であって、それを「封じ込めるため」とするのは余りにも牽強付会な結論というべきでしょう。

ましてや、援護法が沖縄戦を見えなくする「ガン」だという彼の指摘には、呆れてモノが言えません。

第一、ちょっと考えてみればわかることです。

靖国参拝を行なうと、沖縄戦が見えなくなるのでしょうか?
援護金を支給すると、沖縄戦が見えなくなるのでしょうか?
一体、関係がどこにあるのでしょうか?

慰霊は慰霊で行なえばいいことです。
援護金の支給は適正に行なえばいいことです。

確かに援護金を受け取ったから、靖国神社への合祀されたのは事実です。
しかしながら、彼ら沖縄戦の犠牲者の霊を分祀しなければ戦争が見えなくなるというのはマヤカシです。
そんなことをしなくても、きちんと調べれば、沖縄戦の悲惨さというものは理解できる筈なのです。

もちろん、この番組に出演した人たちが、靖国神社を否定する気持ちはわからなくもありません。
実際に沖縄戦という辛い体験をした彼ら遺族にとっては、彼らなりに考え抜いた結論なのでしょう。

そうした立場に立たされれば、そうさせた”犯人”が一体何なのか追及して行くのも当然だし、それが彼らにとっては「靖国」であった、ということなのでしょう。
国という存在が彼らにとっては、単なる加害者に見え、自ら生活する上で有害無益に思えるのも無理はないかもしれない。

そう結論付けた彼らの判断そのものについては尊重したいと思う。

しかしながら、一方でやはり、彼らの結論・主張というのは、間違っているとしか思えない。

同番組のナレーターは、この訴訟を「戦争の息の根を止めるこの裁判」と呼びました。
それならば、靖国神社から彼ら親達の英霊を引き剥がす行為が、戦争の息の根を止めることになるのでしょうか?

そんなわけがありません

「戦没者を祀ることが戦争を肯定し駆り立てる」という彼らのロジックは、一見、正しそうに見えます。
しかし、それは順序が逆なのです。

尊い犠牲を慰霊するために祀るのであって、戦争を起こしたいが為に祀るのではありません
AだからBという結びつきは、必ずしもBだからAとはならないのと同じ理屈です。

つまり、この番組の意図は、その順序を逆転させ、あたかも靖国神社が「諸悪の根源」であるかのように誘導しているだけなのです。

つい最近亡くなった小室直樹が、「地震ナマズ説」という面白い説を唱えていました。
この説は「地震が起こるのはナマズが暴れるからだ。ナマズが”諸悪の根源”だから、ナマズを殺せば地震は起こらない」というものですが、この番組もその類いといえるでしょう。

靖国神社を、戦争に駆り立てる装置だと決め付けることが、戦争の息の根を止めることだとは思いません。
靖国神社を”ナマズ”に見立てて抹殺すれば、戦争の息の根を止めることに直結するわけではないのですから。

そもそも、靖国神社は、国という共同体の為に尊い命を捧げた英霊を祀るための場です。
共同体を解体しようとするのであればともかく、維持していこうと考えるのならば、こうした慰霊の場は必要不可欠です。

実際、21世紀の現代においても、共同体を抜きにして人間は生きていくことが出来ない以上、共同体への尊崇の念を表す行為というものは、共同体を維持する為にも欠かせない要素なのです。
そして、靖国神社も、その要素の一つなのです。

それを戦争に駆り立てる装置と決め付け、否定してしまうことは、まさにナマズを殺すような、角を矯めて牛を殺すような行為と言えるのではないでしょうか。

それはさておき、こうした番組が平和を考える番組として受け止められている事そのものがおかしいと私は思います。
こうした番組こそ、戦争の実態から目を背けさせ、真摯な反省を妨げるものでしかありません。

こうした「似非」平和活動の欺瞞に気付くことこそ、本当の反省への第一歩であるはずだ、と私は考えます。


【関連記事】
◆「同一の言葉で、その意味内容が逆転しているかもしれない」と気付くことの難しさ


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一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
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