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一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

菅直人は現代の牟田口中将/~無能を排除する方法が貧弱な日本の組織~

以下ご紹介する岸田秀の記述を、現在の菅内閣のていたらくを連想しながら読んでみてください。
こういう分析を読むと、日本的組織とは平時には有効だけれど、有事になればなるほど弊害が露わになってしまうのは宿命なのか…と思ってしまいます。
「下士官は優秀だが上司・リーダーが無能であった」という日本軍の問題は、ただ単に過去の問題ではなく今現在の問題であり、また、その問題の原因は個人にあるのではなく、組織そのものが含有する問題であると言えるでしょう。


日本人と「日本病」について (文春文庫)日本人と「日本病」について (文春文庫)
(1996/05)
岸田 秀、山本 七平 他

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(~前略)

日本的集団では、リーダーは下の者たちに推されてリーダーになるんで、下の者たちの自発的な支持と協力に支えられています。

だから、一方的に強制的な命令を下したりしない。
みんなの意見をよく聞く。
上下、心を一にしてというのが理想です。

しかし、近代的軍隊ではそうはゆかない
上官は命令権を持ち、部下は服従しなければならない。

ヨーロッパでは昔から集団というものはそういうものだったから、そのままその組織原理で近代的軍隊をつくることに無理がなかった

集団においていちばん問題になるのは、無能なリーダーをどのようにして排除するかということです。

日本的集団では、無能なリーダーぱ下の者たちの人望を失い、その支持と協力が得られなくなって、おのずと排除されるという形をとる
ヨーロッパ的集団では、業績の評価に基づいて排除される

日本には業績の評価に基づいて無能な者を排除するという伝統がもともとない

無能だということで首になった大学教授は一人もいないし、日清日露以来、太平洋戦争に至るまで、日本軍の将軍で作戦指導のまずさをはっきりと糾弾され、何らかの不名誉な処遇をされた者は一人もいない

乃木将軍なんか、あちらだったら、軍法会議ものです。
それが日本では神社に祀られる。

伝統というものは、たやすく変えられるものではありませんから、これはある意味では仕方がなかったかもしれません。
しかし、軍隊では部下が上官を忌避することはできませんから、ここに悲劇が起こったのです。

つまり、日本軍では、部下が上官の命令に服従するというヨーロッパ的組織原理を取り入れて、無能なリーダーを排除する日本的方法を塞ぎながら、業績の評価によって無能なリーダーを排除するヨーロッパ的方法は取り入れられなかったわけです。

日本軍においては、だから、無能な司令官や参謀が続出したのは必然的だったわけです。

インパール作戦の牟田口中将(wiki参照)なんかは、どなり散らすしか能がなく、無能で卑劣な将軍の最たる者でしたが、ああいう男が排除されず、ビルマ第十五軍の司令官として強大な権力を持ち、八万の日本軍兵士をムダ死にさせる結果になったところに、日本軍の構造的欠陥がはっきりと現われています。

日本的集団は軍隊向きじゃないんです。

もし牟田口が店員を五、六人使っている個人商店の跡取り息子で、親父が死んで牟田口商店を継いだとすれば、店員たちに馬鹿にされ、嫌われ、逃げ出されて、店はつぶれたでしょう。

あるいは、彼に妹がいたなら、その妹が有能な店員と結婚して、牟田口商店をやってゆくということになったでしょう。
商売の世界なら当然脱落する彼のような男を排除するシステムが日本軍にはなかったということです。

【引用元:日本人と日本病について/組織と共同体/P158~】

タテマエではヨーロッパ的組織原理に従いながら、現実には日本的行動原理に従って行動する。
その矛盾が有事になればなるほど露呈するような気がします。

この矛盾を克服し、整合性をはかるような日本独自の組織論を構築していかない限り、第ニ、第三の菅直人牟田口廉也が今後も続出することは避けられないのではないでしょうか。

単に個人を批難して済む問題ではないと思うのです。
(だからといって、菅直人を批難するなといっているわけではないのでその点誤解しないで下さいね。)


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一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
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