一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

名文章ご紹介シリーズ【その4】~無責任な応援~

このコーナーは、山本七平の著作の中から、読んだ私が「うむ、なるほどっ」と感心した文章を選りすぐり、私の下手な解説抜きでご紹介しようというものです。

今回ご紹介する一文は、無責任で煽り立てるような言動がまかりとおっている今の日本のネット上にもあてはまるような気がするんですが…。



戦争とスポーツには、確かに何か関連性がある。

アメリカ兵には、「自分は戦争をスポーツと心得ている」などとヌケヌケという人間がいた。こういう言葉は、アメリカ非難のよき材料になるであろうが、しかし同じような面が日本人に皆無とはいえない。

特にこれがはっきり出ているのは、日本の場合は、兵士よりむしろ戦争スポーツの応援団と観客の方であろう。

「大戦果」に興奮して酔ったような新聞ラジオ、まるで試合の中継放送のように「戦局」の推移に一喜一憂するその感激調と悲壮調!

冷静はそこには皆無であったではないかそしてその興奮を感じない人問は非国民とされた

そして、兵士のPTAをもって自ら任じた国防婦人会の白割烹着と白ダスキのオバチャンたち。確かに彼女らは親切であった。動員列車のとまる駅々でお茶をサービスしてくれたし、キャラメルもくばってくれた。

だが一方的に興奮している彼女らの激励や応接に、兵士たちは答えず、ただ黙って敬礼しただけであった。そして汽車が動き出しても、長い間、彼らはむっつりと黙っていた。

女性は常に戦争に反対であったなどという神話は、私には通じない

戦争をその心底において本当に憎悪しているのは戦場につれて行かれる兵士であって、絶対に戦場にやられる気遣いのない人びとではない

そしてあらゆる問題の解決において、最も有害な存在は、無責任な応援団であろう。そして「現場」に送られる人間にとって最も不愉快な存在は応援団であった。

その中で彼女たちは確かに非常に親切であった。しかしその親切もこの不愉快さを消してはくれなかった。そしてこの不愉快さは従軍記者に対してもあった。

by山本七平

【引用元:私の中の日本軍(下)/戦場の内側と外側/P178~】



【関連記事】
・名文章ご紹介シリーズ【その1】
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・名文章ご紹介シリーズ【その7】~戦場には二種類の人間がいる~
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コメント

軍事とスポーツという記事が本旨ではないので、これ以上のコメント問答は問題だと思いますので、こちらとしては、自前のブログで反論というか、持論を展開させてもらうことにします。
個人として、この記事でのコメントの応酬は、記事の本旨を違えるとの判断で自制させてもらいます。
(あくまでも、このブログでの論争は避けるという意味ですので、ご理解ください)
こちらに冥王星個人の反論を展開しておりますので、気が向いたらどうぞ。
http://self0507.blog52.fc2.com/blog-entry-679.html

  • 2008/08/13(水) 11:34:10 |
  • URL |
  • 冥王星 #-
  • [編集]

冥王星さん

適切な反論ありがとうございます。
細かい点で考えの違う点などを述べさせて頂きます。

>>「古代の軍事訓練や武術の一部から派生していった物としてスポーツ」というのは、具体的には何を指すのでしょうか?

これは、陸上競技や格闘技・武道全般です。
冥王星さんと考えが異なるのは、「実際には神事や娯楽の前に、軍事的目的(生存競争目的)の鍛錬等があったのではないか?」という考えに立っております。(冥王星さんとは違って、文献などで考察している訳ではありませんので、馬鹿発言の可能性が極めて高いですが)

>>おっしゃる軍事的な側面のスポーツも…

ここは、冥王星さんの仰るとおりだと思います。

>>これをやった時点で、スポーツマンシップに抵触するのがスポーツですよね?

ただ、実際にはルール上問題なければ、スポーツマンシップは、勝利を続ける限りにおいては、あまり問われないのが現状です。(その為にルールがどんどん細かくなっていく傾向にもあります)

>>スポーツは教育・文化側面を要請します。

これは、どうでしょうか?
少なくとも競技者の本音は、「そんなの関係ねー」だと考えております。あくまでも、普及の為に都合が良いと考えているからこそ、教育・文化側面を強調しているだけに過ぎないと考えております。(特に格闘技や武道)

>>最後に、仮に職業軍人の…受け入れられるでしょうか?

これは上で述べさせてもらった通りです。

>>消防団の放水…サバイバルゲームもスポーツたりえるでしょうか?

これは不謹慎ではありますが、実際にはスポーツ的な側面は十分にあると思われます。(一方的な殺戮ではない殺し合いですら、楽しめるようになってしまう人間もいますから)

反論の為の反論みたいで申し訳ありません。

  • 2008/08/07(木) 17:44:05 |
  • URL |
  • 仮)山田二郎 #-
  • [編集]

仮)山田五郎氏へ

昨晩はアシSの事務所に泊まってしまった冥王星です。

反論になりますが
「古代の軍事訓練や武術の一部から派生していった物としてスポーツ」というのは、具体的には何を指すのでしょうか?
これに関して考察するべきは、古代ギリシャ五輪あたりから由来を引用すれば、スポーツは「神事」というべきでしょう。
相撲、格闘技などはすべて神事がオリジンですし、様々なスポーツの原型は神事がベースだと思っています。
陸上競技もスポーツとして祭事化していたことも文献上の指摘にあります。(スタダィオン競技=早く供物できるか?という争いから陸上競技が発生したそうでw)
派生系は様々な習俗、環境的な差異から分裂しただけのスポーツでしょう。
神事から民事への昇華過程でスポーツの大衆化が起こっただけだと分析しております。
(蹴鞠が大衆化しなかった理由を知りたいのですが・・・w)
軍事以前にある神事としてのスポーツの由来を本当は採用するべきだと私は想定しています。しかし、神事の側面だけではスポーツを網羅できるとは思えないのです。同じく戦争、軍事だけでも到底網羅できないと思います。
 おっしゃる軍事的な側面のスポーツも介在するでしょうが、それのみでスポーツを見ることは、むしろ、スポーツの性格を歪めるだけではないでしょうか?(スポーツの一部だけでスポーツの全体像を語るような姿勢には同意しかねます)
 
「気晴らし」と「神事」に関しても
神事は”神様の気晴らしのための祭事”という側面も持ちえることで説明できますし、
神事、祭事は現代では余暇であることも否定しきれないことでしょう。

戦争とスポーツはオリジンjからして、言語学的な側面での包括的な意味を持ちえません。
KO大学の創始者の誤訳の批判を以前、私がしたのでここらは著書を出したいのですが、実名がバレるので自制させてもらいます。

近視眼的に、戦争とスポーツと関連させることを否定するつもりはありませんが、
論理的な乖離部分を着目して、そこを埋め合わせる作業を経てから、同質視されるのが、もっとも中庸、中立的な見解ではないでしょうか?
比較論で同質とするならば、同質ではない側面を同質化する論理構築があって然るべき、というのが私のスタンスではあります。

>現に、相手に対する勝利のみを目的にする方は、良心なんてどこ吹く風と言った事をやりますしね。

これをやった時点で、スポーツマンシップに抵触するのがスポーツですよね?
では戦争はどうですか?
戦争においては、倫理側面を一時留保するしかありません。
ここも戦争とスポーツの最大の人間性にかかわる違いです。
戦争という異常状態に対して、スポーツは教育・文化側面を要請します。それは五輪を見れば明らかです。
では、戦争では教育・文化側面の需要はあるでしょうか?

最後に、仮に職業軍人の鍛錬教練の過程にあるスポーツというものがあるとして、それを「スポーツ」と言及することが現代の価値観で受け入れられるでしょうか?
消防団の放水実演、自衛隊の火力演習をスポーツという人がいるでしょうか?
サバイバルゲームもスポーツたりえるでしょうか?軍事から派生したもの、だから、スポーツではないというのは様々な例外から言いえることでしょうし、それ以前の由来から取り出すべきだと思いますが・・・・

長文、失礼しまちた。

  • 2008/08/07(木) 10:20:00 |
  • URL |
  • 冥王星 #-
  • [編集]

冥王星さん

多分、私とはスポーツに対して考えている視点が違うように感じられます。
私が古代の軍事訓練や武術の一部から派生していった物としてスポーツは、戦争と同じと言っているのに対して、冥王星さんは娯楽としてある程度確立された時点でのスポーツを述べられている物と考えられます。

ゴルフの紳士協定に関しては、勝利や結果を出すと意味が、必ずしも相手に対する勝利ではないからではないですか?
現に、相手に対する勝利のみを目的にする方は、良心なんてどこ吹く風と言った事をやりますしね。

  • 2008/08/06(水) 21:20:38 |
  • URL |
  • 仮)山田二郎 #-
  • [編集]

アシSの見舞い帰りしかPC触ってないのが最近の近況なのですが、それは別のお話で。
スポーツの語源ですが、
http://www4.osk.3web.ne.jp/~love/needs/sports2.htm
http://gogen-allguide.com/su/sports.html
などの言語的な由来では、「余暇」とまでいかずとも、「気晴らし」程度の訳語が妥当そうです。
あくまでも言語的な由来でありますが、「運ぶ」という行為から「車」と「軍」と関連させた訳語をKO大学の創始者あたりが誤訳した話は聞いたことがありますが・・・・・

さて、少しネタを深くしておきますが、スポーツと審判という存在の例外になる競技として「ゴルフ」があります。ルールブックはあれども拘束に関しては、プレイヤーの良心に依存するという特殊なスポーツです。
語彙に問題がありますが、ゴルフのルールは紳士協定でしかありません。
同じように国際法も紳士協定です。
しかし、なぜゴルフはルールが守られている現場が多く、国際政治では守られないことが多いのか?という疑問が生まれますが・・・

戦争も「気晴らし」という側面もなくもないのですが・・・まぁ、それはそれで別の話(森本レオ風味)

自分のブログに以前、生徒の記事でそれっぽいのがあったので、URLリンクしておきます。

  • 2008/08/06(水) 18:20:39 |
  • URL |
  • 冥王星 #-
  • [編集]

冥王星さん

スポーツとは余暇に過ぎなかったというのは、ちと違うんではないかと…。
軍事訓練の一部から派生していったのが、根源だと私は理解しています。(今でも似たような状態の競技もあったりしますし)
もっとも、最近では全くそういうのとは関連性がなさそうな競技が多いのも事実でしょうけど。

  • 2008/08/04(月) 02:15:09 |
  • URL |
  • 仮)山田二郎 #-
  • [編集]

非国民とかの評価は当人の受け止め方の問題で終わるんだろうけど実際、当時非国民と呼ばれた人の苦しみは、非国民というレッテルよりも、現実逃避した国民を覚醒させることができない不甲斐なさがあったそうだ。
冥王星の祖父母は典型的な非国民だったが、おそらく冷静さのない「国民」を哀れみながら優越感に浸れたことはなかったらしい。

ちなみに、無責任な応援団というのは、今の有権者に当てはまるでしょうねw


最後に、戦争とスポーツに関して整理すると
一緒にしては大きな間違いがあると断言できる。
まず、スポーツとは余暇に過ぎなかった。それが社会の高度な分業化によるプロスポーツが形成され、プロスポーツは大衆娯楽になった。
本義、スポーツは自分とその周囲の世界観だけしか構築しなかったものが、政治性、娯楽性を持ち始めた。
つまり、プロスポーツと戦争の類似性をスポーツに置換しているに過ぎない。
 同時に、相互尊厳など戦争には存在しない。そこには人倫などは到底入りようが無い話だが、スポーツは違う。
相互関係としての一定尊重関係があるが戦争にはそれがない。
そして、もっとも大きな違いは、戦争は競技をジャッジするのは当人であるのに対して、スポーツは審判が決めるものである。
似ているような幻想を抱くのは、スポーツの一面だけを抽出しているに過ぎないとしか思えない。
 ちなみに、応援団の存在はスポーツには不要だが、戦争には必要であるのも大きな違いでもある・・・・

  • 2008/08/03(日) 07:29:39 |
  • URL |
  • 冥王星 #-
  • [編集]

ありがとうございます

>仮)山田さん

アドバイスありがとうございます。
やっぱり、昔から岡目八目というとおり、第三者の目というのは重要ですね。

どうも、論争していると熱くなってしまってイカンです。

一応方針としては、なるべく事実については争わず、彼らの解釈がおかしいことを突いていきたいとは考えていますが…。

ま、来週は帰省するのでホドホドにしておきます(笑)。

  • 2008/08/01(金) 18:55:00 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

スレ違いですが

Lちゃんのいつもの手に引っかかって、延々と無実の証明を強要されている事に気付いてくださいね。
客観的に正しい証拠・根拠を提示する義務があるのは、告発者の側であって、否定の側に立つ一知半解 さん達ではないのですから。
(否定側は客観性にかけるから、証拠にならないを繰り返すだけでもOK)

私としては、このまま護憲・平和主義者達の馬鹿レスを垂れ流して踊り狂ってくれる方が、ありがたいのですけどね。

  • 2008/08/01(金) 00:34:41 |
  • URL |
  • 仮)山田二郎 #-
  • [編集]

>仮)山田さん

コメントどうもです。

>当事者の心境や状況など考えずに、勝利を希求する応援団や国民の姿も、そっくりですね。

確かにその点も似てますねぇ。無責任な応援は楽ですが、当事者はたまったものじゃないですね。

それはさておき、なんでこんな話を山本七平がしたかといいますと、この引用文の前段で「砲撃」には一種のスポーツ的要素があって、「照準という一種の無念無想的集中、発射という放散」は、ストレス発散の効果があるなんぞ言っていたわけです。彼の上司の部隊長もかなりのマニアで、寝ても醒めても砲撃の話ばかりしていたそうですよ(笑)

  • 2008/07/28(月) 21:06:00 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

戦争とスポーツは、成り立ちから、勝者が総取りをする点も極めて関連性は高いというか、同じですしね。(特に、古代からある競技)
また、当事者の心境や状況など考えずに、勝利を希求する応援団や国民の姿も、そっくりですね。

  • 2008/07/27(日) 22:21:23 |
  • URL |
  • 仮)山田二郎 #-
  • [編集]

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え~~やっと暇になったので、。ここ10日に渡りしつこくしつこく、お行儀悪く書いてきてくださっている「にゃんころもち」さんのお相手を...

  • 2008/07/27(日) 17:03:38 |
  • お玉おばさんでもわかる 政治のお話
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「一知半解知らずに劣れり」な自分ではありますが、「物言わぬは腹ふくるるわざなり」…と、かの兼好法師も仰っておりますので、ワタクシもブログでコソーリとモノ申します。
一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
日々のツイートを集めた別館「一知半解なれども一筆言上」~半可通のひとり言~↓もよろしゅう。

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