一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

いい加減「日本は悪くない」論をぶつのはやめましょう。事実の認定のみで争うべし!

すっかり、更新が滞ってしまいました。いろいろ書きたいネタというのがないわけではないのですが、何しろ書くのが得意でなく、(たいした内容でもないし、引用ばかりなのに)一つエントリーを上げるのにも書き直したりと試行錯誤している有様なので、前回のアントニーの詐術シリーズが終わったあと、しばらく書く気が起こりませんでしたよ。

さて、それでは本題に入りますが、航空自衛隊の空幕長の田母神氏が書いた論文が話題となっていますね。今日はそれに関して思った事を書いていこうと思います。

内容自体は、どこかで読んだことのあるような内容の主張でしたね。保守派からみれば、細部で?な処(アメリカの陰謀をぶち上げている処など。証明できない事を主張している段階でどうかと思う)もあるけれど概ね頷ける内容じゃないでしょうか。山本七平に出会う前の私であれば、そのとおりだ!それなのになぜ首を切られるんだぁ~などと考えていたかもしれません。

でも、最近思うんですけど、なんだかんだ言っても「俺だけが悪いわけじゃない」的主張じゃ何の解決にもならないんですよね。

幾ら自分で正しいと思っても、それは一面的な見方に過ぎないし、実際に被害を受けた相手に通用するものではない。だってそれほど被害を受けたとは思えない韓国ですら、その論理は通用しないんですから。
確かに、田母神氏のような主張は、我々日本人から見れば、「日本だけがなぜこんなに責められなけりゃならないのだ」という感情に訴えかけてくるがゆえに、つい飛びつきたくなる主張なんですけど。

それに、一度示した談話というのはなかなか取り消すのは難しい。
個人的には、村山談話もどうにかしたいところですが、何よりも悪評ぷんぷんの河野談話は是非撤回させたいところなんですがねぇ~。

ただ、一旦公的に認めてしまったことを覆すには、確たる証拠を揃え、国内的にコンセンサスを得たとしてもかなり難しいのではないか…とちょっと絶望的にすらなります。つくづく河野洋平が恨めしくなりますね。

どうすればいいのか?
私自身も、具体的な解決策というものを提示できないのですが、この問題については、もはや善悪等が絡む解釈についての論争はなるべく避け、事実の認定のみについて争う姿勢をとり続けるしかないのではないでしょうか。事実を提示し続ける。それだけしか対抗手段は残されていないような気がします。

そして、もう一つ言える事は、今回のような立場の人によるこうした主張は何の役に立たないどころか、却って有害でしかないのではないか…という事。

こうした主張をしたいのであれば、公人たる立場でやるべきではないでしょうね。
田母神氏は、確信犯的に問題提起して自らの主張を広めたいのかも知れません。
日本人には心情的に受け入れやすい説ですから、日本人の間には受け入れられていくかも知れませんが、このやり方は対外的に印象が悪すぎると思います。

結局のところ、田母神氏の主張は、余りにも自慰的要素が強すぎるのです。
そうした開き直りが許されるのは戦勝国の権利だと考えるべきなのかもしれません。
敗戦国がいまさら悪くなかったと主張しても、取り合ってもらえない…そう覚悟を決める必要があるのでは。

それに、こうした論議は不毛です。
賛成する者には、反対する者が非国民のように見えてしまうし、反対する者からすれば、反省のない往生際の悪い奴としか見えないでしょう。

「日本は悪い/悪くない」…にばかり焦点が当たり、それを認めるか認めないかで、「反省した/していない」という結論にいつも矮小化されてしまう。なんだかなぁ。

いつもは、左翼のスタンスに厳しい自分なんですけど、今回ばかりは、この田母神氏の主張に同意する人には、次のことを考えてもらいたいですね。

1)生半可な対応は中韓の代弁者である左翼の連中に揚げ足を取られる危険性があること。

2)所詮、悪くないと主張しても、それは解釈の問題であって、いかようにでも受け取ることは出来る以上、水掛け論に終わらざるを得ない。確実な事実認定でのみ争うべし



そうしないと、道徳的優位性の衣を被って「反省が足りない」とのたまう傲慢な左翼の連中をますます付け上がらせることになってしまう。

反省が足りないと文句を言うだけが取り柄で、その実、批難することや揚げ足を取ることだけは得意で何ら反省の中身について考えたことの無い連中、そういう連中に、「反省が足りない!」といわれることだけは避けたいものですね。

今回の「日本は悪くなかった論」を眺めていて、ふと思い出したのが、山本七平の「一下級将校の見た帝国陸軍」の一章「石の雨と花の雨と」。

一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)
(1987/08)
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これは、「日本は悪くなかった」論に与する人たちに是非一度目を通してもらいたい。
そうすれば、如何に自分の主張が一面的で、自慰的なものに過ぎないのか。
そして、本当に反省すべきなのは、一体何なのか?それを考えるよいきっかけになると思いますので。

今日はもう長くなりましたので、「石の雨と花の雨」については、次回取り上げて行きます。
お楽しみに。


【関連記事】
・「石の雨と花の雨と」~石もて追われた日本軍/その現実を我々は直視しているか?~


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テーマ:歴史 - ジャンル:政治・経済

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コメント

和久希世さんへ

コメントありがとうございます。
ご賛同いただけたようで嬉しいです。

>アングロサクソンの悪辣さを真似する必要などあるとは思えません。

もちろん、そうです。
アングロサクソンのように「事実すら認めない」という態度を”徹底できない”性分の日本が、やろうとおもっても失敗するだけです。

ただ、そうした「厚かましさ」がスタンダードな世界であるという認識だけは持っているべきかと思いますよ。

また、この歴史認識を巡る問題には、「善悪の視点」を持ち込むべきではない、とも思います。

「善悪の視点」を持ち込むが故に、田母神氏のように「悪くない」論が出てくるのです。
日本人は余りにも「善悪の視点」で判断する傾向があると思います。

  • 2009/01/11(日) 22:52:14 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

一知半解様

ご主張に大賛成です。
私の言いたかったのも、ほぼそういう事だった様な気がします。

それに日本人は日本人らしくある方が、結局ことは上手く運ぶのではないかと思います。
アングロサクソンの悪辣さを真似する必要などあるとは思えません。
これは人生観にも関わってくる事かもしれませんが・・・・・

  • 2009/01/10(土) 09:43:19 |
  • URL |
  • 和久希世 #dN1wHbUA
  • [編集]

二本人でない日本人さんへ

二本人でない日本人さん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>外交、政治はもちろん日本以外の社会ではしばしば厚かましさこそが正論なのです。

指摘されて思ったのですが、ある意味そうかもしれないなぁと。
日本人って、「厚かましさ」が確かに欠けていますよね。

善悪にこだわり、間違いを素直に認める国民性が作用している気がします。
こうした気質がある限り、なかなか厚かましくなれそうに無い気が…。

仰ることはわかるのですが、寝技の出来ない以上、理論というか「事実の認定」で勝負するしかないのでは…。

それに、大英帝国は仮にも戦勝国。敗戦国とは違い突っぱねやすい立場でもありますし。敗戦国として仕方がない部分もあると思います。

>残念ながら日本にはあなたのように理論で整然とやらなければ勝てないと思う人しかいません。

そう思わない人を増やすには、一度、日本人が囚われている善悪の価値観から離れる必要があるかも知れませんね。

  • 2008/11/10(月) 23:17:38 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

理屈で厚顔無恥には勝てない

残念ながら日本にはあなたのように理論で整然とやらなければ勝てないと思う人しかいません。 外交、政治はもちろん日本以外の社会ではしばしば厚かましさこそが正論なのです。正々堂々、俺の善意を見せれば相手は理解してくれると言うのは「愚の骨頂」なんです。 大英帝国博物館には「旧英国植民地の皆様へのお詫び」などと出ていましたかね。

  • 2008/11/09(日) 17:51:13 |
  • URL |
  • 二本人でない日本人 #nLnvUwLc
  • [編集]

ひまじんさんへ

ひまじんさん。コメントありがとうございます。

>反論するのがダメ論が一番怖い訳で。

これは、反論は一切許さないという意味ですか?
確かに村山談話や河野談話を擁護する連中からは、そうしたオーラが出ていると思います。
今回の論文は却ってそうした連中を勢いづけてしまうような気がする点が、私はちょっと心配です。
反論も良く考えて行なわないと逆効果なんですよね。

  • 2008/11/04(火) 23:19:29 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

日本は悪くなかった論では無く、日本だけが悪い論が問題なわけで。
それに反論するのがダメ論が一番怖い訳で。
村山、河野談話を是とするなら、戦後戦犯に対する決議も是とするべきで、そうすればA級戦犯なんてーのはいなくなる訳で、靖国云々は為にする議論では。

  • 2008/11/04(火) 15:00:23 |
  • URL |
  • ひまじん #ipAlYmTo
  • [編集]

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「一知半解知らずに劣れり」な自分ではありますが、「物言わぬは腹ふくるるわざなり」…と、かの兼好法師も仰っておりますので、ワタクシもブログでコソーリとモノ申します。
一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
日々のツイートを集めた別館「一知半解なれども一筆言上」~半可通のひとり言~↓もよろしゅう。

http://yamamoto7hei.blog.fc2.com/

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