一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

「内的自己」と「外的自己」とに分裂した近代日本/きっかけはペリー来航だった!?

今回も岸田秀のご紹介です

岸田秀の精神分析論には、「内的自己」と「外的自己」という単語が良く出てきます。
これらの単語は、精神分裂を説明するための表現なのですが、この単語を押さえておくと、非常に話がわかり易くなると思いますので、著書「日本がアメリカを赦す日」より本人の記述を引用してみます。

日本がアメリカを赦す日日本がアメリカを赦す日
(2001/02)
岸田 秀

商品詳細を見る

近代の日米関係では、世界の歴史に先例のないことがよく起こっています。

玉砕や特攻隊のような、何か死に急ぐ兵士、あえて死に向かって突き進む兵士(周りの雰囲気でそうせざるを得ないように心理的に強いられた者もいたでしょうが)は日米戦争における日本軍に初めて見られたことですし、原爆投下など、空襲による敵国の一般市民の残忍な大量虐殺はアメリカ軍が初めてやったことですし、敵国民に対してあれほど寛大な占領政策を施行したのはアメリカが初めてですし、占領軍に対してあれほど従順だった国民は日本国民以外にはいません。

不思議と言えば不思議、不可解と言えば不可解な現象です。それがなぜかを、僕は理解したいのです。

■精神分裂

近代日本は、自国を貶め、外国(アメリカを初めとする欧米諸国)を崇拝し、外国のようになろうとする卑屈な外的自己と、外国を憎悪し軽蔑し排除しようとする誇り高い誇大妄想的な内的自己とに分裂した精神分裂病者のようなものであるというのが、僕のかねてからの主張ですが、この見方に立てば、戦争中の、捕虜になってみじめに生きるのを潔しとしない玉砕や、大義のために命を捨てる特攻隊、神国日本の不敗を信じる皇国史観などは内的自己、敗戦後の、占領軍への従順さ、いわゆる自虐史観などは外的自己の表れと見なすことができます。

実際、いずれも現実的・合理的判断にもとづくとは思えない両極端へのこのような分裂は、一種の病的現象とでも考えなければ、説明かつかないのではないでしょうか。

事程左様に、日本および日本人の外的自己から内的自己への、内的自己から外的自己への反転は唐突です。

次回へつづく)

【引用元:日本がアメリカを赦す日/第三章 ストックホルム症候群/P60~】


従来、右翼・左翼という形で政治的立場が区分けされますが、それに加え、この「外的自己/内的自己」で細分化するとよりわかり易いのではないかと、この記述を読んで思いました。

まず左翼については、比較的反米の姿勢を取る人が多いです。
これはやはりアメリカという存在が「内的自己」を刺激するからでしょう。

ただ、反米の姿勢を取る人でも、反欧の姿勢を取る人は少ないですね。むしろ、親欧というか「出羽の守」状態の人がほとんどではないでしょうか。
フランスべったりとか、北欧べったりでひたすら日本のことを貶す左翼が、よく見受けられます。

こうやってみると、左翼は基本的には「外的自己」傾向だけれど、対アメリカに関してだけは「内的自己」が表れる傾向にある、といえるのではないでしょうか。

まあ、日本人は基本的に舶来を尊んできた民族ですから、進歩的な人が左翼であるケースが多いのは当たり前なんですけどね。そんな人でもアメリカだけは嫌いなのでしょう。

それに対して、右翼は、比較的親米の姿勢を取る人が多いように見受けます。
ただ、そうした姿勢を取る人にも、二種類ありますね。

日本の現状をみて、やむを得ず「親米」姿勢を取る人と、「出羽の守」的に「親米」姿勢を取る人といるように思います。

特に、やむを得ず「親米」姿勢を取る人というのは、意識的にしろ無意識的にしろ「内的自己」を抑えているように思います。
対中国・北朝鮮を考えて親米姿勢を取ってはいるものの、本音では左翼同様、アメリカが嫌いなんでしょうね。
(私自身を分析すれば、これに近いように思う。)

でも、そもそも右翼というのは、おもいっきり「内的自己」が激しい人を指すのではないでしょうか。
極右などは、昔さながらの「尊皇攘夷」的なイメージがあるのですけれど。

こうやってみると、日本人といっても、さまざまに分裂しているのがよくわかりますね。

さて、岸田秀は、このように「外的自己/内的自己」を規定し、精神分裂の説明をした上で、「近代日本の行動が、精神分裂病者のようである」と指摘しています。

それではなぜ、近代日本が精神分裂病者になってしまったのか?
著書「二十世紀を精神分析する」から、岸田秀の考える理由を紹介して行きましょう。

二十世紀を精神分析する (文春文庫)二十世紀を精神分析する (文春文庫)
(1999/10)
岸田 秀

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ニ、ペリー来航真珠湾

人間は行動の動機を必ずしも意識していない、あるいは当人が意識している動機は必ずしもその行動の真の動機ではないというのは精神分析の説くところである。

このことは個人にも集団にも当てはまる。

歴史を主として動かしているのはそこに参加した人たちが意識していない動機である。
その例として、日米開戦と真珠湾奇襲だ。

当時の政策決定者が意識していた理由は、ご存じのように、アメリカに石油を禁輸され、中国と仏印からの全面撤兵を要求され、追いつめられた日本がこのまま座して死を待つよりはと、戦争に活路を求め、そのためにはまずアメリカの太平洋艦隊をたたく必要があるので、真珠湾に奇襲をかけたというものである。

敗戦後、生産力が日本の十数倍もあるアメリカに戦争を仕掛けるなんて無謀極まりないど非難されたが、この開戦の理由は、当時としては一応合理的である。

もちろん、アメリカの言いなりになるという選択はあったが、それでは戦わずして負けるのと同じであった。

また、アメリカの言いなりにならずにがんばったとしても、日本は石油を産出せず、石油の備蓄は数カ月分しかなかったから、このままでは数カ月経てば日本軍は確実に無力化する。

言ってみれば、放っておけば間違いなく死ぬ、手術はできないことはないが非常に危険で、たいていは助からない、しかし、一纏の望みがないことはないといった患者のケースで、手術することを日本は選んだのである。

しかし、この理由が合理的と見えるのはそう見えるだけのことであり、日本のこの選択と決断には多くの不合理な動機が隠されている

わたしはかねてから、日本は一八五三年にペリーに強姦され、その屈辱感を抑圧したために、アメリカを崇拝する外的自己と、憎悪する内的自己とに分裂し、一種の精神分裂病者になったと言っているが、わたしの考えによれば、真珠湾奇襲の真の動機はこの内的自己の暴発である。

日本はペリーによる強姦に対して復讐したかったのである。

日本はアメリカと戦争したかったのである(しかし、全面戦争をしたかったのではなく、ペリーにやられたことをやり返したかっただけである。ペリーは戦艦を四隻つれてやってきたが真珠湾で日本軍は戦艦を四隻撃沈して引きあげている)。

そのため・イギリスとオランダだけに宣戦するという、より合理的な方策は検討すらされない。交渉の余地のあるハル・ノートを最後通牒と見なす。

そのようにして日本はみずからをアメリカと戦わざるを得ないところに追い込んでゆく。

そして、日本軍は真珠湾のアメリカ艦隊を攻撃したが、燃料タンクや市街地を攻撃しなかったことは、かつてペリーの戦艦に脅迫されたが、それ以上のことはされなかったことと関係がある。

また、日本軍が戦略的には当然やるべき第二次攻撃をやらなかったこと、真珠湾奇襲以後はアメリカ軍に対する勝ち戦さがほとんどないこと、それ以後の戦さはどういう目的と戦略があって戦ったのかさっぱりわからないものばかりであることは、真珠湾の第一次攻撃でペリーへの復讐を遂げて満足してしまったからだと考えられる。

(後略~)

【引用元:二十世紀を精神分析する/ニ、ペリー来航と真珠湾/P14~】


初めて読んだ時、「近代日本はペリーに強姦された」という岸田秀の見方は、非常に新鮮に感じました。ちなみに彼は「マッカーサーに再び強姦された」とも書いています。

確かにこの精神分析をあてはめてみると、近代以降の日本の行動というものが、うまい具合に説明がつくんですね。そうかな?と思う点も若干ありますが、大筋では結構図星を突いているんじゃないかと思います。

次回は、精神分裂の状態に陥った日本人が、憲法改正の問題にどう関わっているのかについて取り上げていきたいと思います。ではまた。


【関連記事】
・自己欺瞞と偽りの謝罪論【その1】
・自己欺瞞と偽りの謝罪論【その2】


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コメント

1読者さん、レスありがとうございます。

ご紹介いただいた『日本人とは何か』最近読んでいますよ(上だけですが)。この本は、非常に面白いですね。

「日本の基準で記した」といえば、山本七平は伊達千広の「大勢三転考」を挙げていますが、本当に斬新な分析手法だなと感じました。
(陸奥宗光のお父さんと知ってびっくりしました)

「大勢三転考」の見方で日本史を眺めてみると、今まで教えられなかった歴史というのが見えてきて知的好奇心が刺激されますね。またそれを上手く教材として使いこなす山本七平の筆にも改めて感心してます。

それはさておき、日本の思想対立をうまく説明したコピペをご紹介いただきありがとうございました。

親大陸派と新英米派という区分けは、斬新で面白い見方ですね。
単なる右翼・左翼という分類より正確でわかり易く分けているように思います。

>なお、戦前・戦後を通じて、親大陸派は常にノイジー・マイノリティーであり、一方親英米派はサイレント・マジョリティーにすぎず、その結果、日本の言論空間を歪め、政治的判断をも狂わせてきたことは記憶しておくべきことです。

なるほど。そういわれると納得です。
親大陸派が、ノイジーであったのは、その性格が、やはり観念的・朱子学的だからでしょうか?
どうも朱子学というのは、正統性に拘るところが好きになれませんね。

こうしたノイジーな親大陸派に対抗できるようになったという意味で、ネットというツールはいい武器になりますね。
だから、既存メディアから敵視されるのでしょう。

なんだか取り留めのないレスになってしまいました。

何はともあれ、いつも示唆に富むコメントいただき、ありがとうございます。

  • 2009/05/26(火) 22:05:11 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

 日本の思想対立の構造(2)

 一知半解さん、レスありがとうございます。
 遅くなりましたが、第2弾です。

 前回のコメントは長くなりすぎたので、本題に入る前に中途で終わってしまいましたが、その続きです。

 山本氏は、『日本人とは何か。』のプロローグで、「当然のことだが、日本の歴史は日本の基準で記さざるを得ず、中国の基準をもってきても、西欧の基準をもってきても、おかしなことになってしまいます」と述べています。このことは、おそらく日本の思想的な対立構造を考える場合も同様で、日本独自の視点が必要になるはずですが、残念ながら、この点に直接踏み込んだ論説を私は知りません。

 ただ、この点に関して、3~4年程前に2chなどでしばしばコピペされていたコメントがあり、核心を突いていると感心し保存してあったものがあるので、少々長くなりますが全文を引用します。

<引用始め>
『朝日が日露戦争をマンセーした事をもって保守化したとか言ってる奴がいるが、日本の思想対立の構造が分かってないな。

日本の対立構造は、
親大陸派(共同体主義、ランドパワー)=親アジア主義、親儒教、親社会主義、親官僚制(=中央集権)、親全体主義、親人治主義、親絶対主義、親合理(観念)論、親水戸学、親平田派国学、親朱子学

親英米派(自由主義、シーパワー)=親国際主義、親資本主義、親封建制(=地方分権)、親自由主義、親立憲主義、親法治主義、親相対主義、親経験論、親仏教、親国学(本居宣長)、親徂徠学
なんだよ。

親大陸派は天皇制を認めるかどうかで国家社会主義(親ドイツ)か共産主義(親ソ連)に分かれ、親英米派は伝統の重視の度合いで保守主義と自由主義に分かれる。

今風の言葉で言えば、反米保守は親大陸派で、親米保守は昔ながらの親英米派なんだよ。
両者は戦後、反共産主義という一点で手を組んだ訳だが、元々は水と油。
共産主義が崩壊した90年代以降、元の親大陸派vs親英米派の構図に戻っただけの話。
戦前の革新官僚や軍部の中の国家社会主義者に偽装した共産主義者が沢山いたってのは有名な話で、この両者は天皇の扱いを除いては対立点はないから、転向は簡単。
西部邁、小林よしのりも何度も転向してるでしょ。
でも、親大陸派は絶対に親英米派にはなれない。逆もしかり。根本の思想が違う。

で、日露戦争の評価について言えば、「白人に対する被支配者有色人種の勝利」と言う点を重視するのが 親大陸派の特徴で、英米日の文明国が専制的(=アジア的)なツァーリのロシアに勝利したと言う点を重視するのが親英米派の特徴。当時の人々はどう思っていたかと言うと、圧倒的に後者が多いだろね。当時の一般の日本人は文明の度合いを肌の色よりも重視した。

このように考えると、朝日が日露戦争を賛美したのは何の不思議も無い。国家社会主義と共産主義の間は容易に転向できる。そのうち、大東亜戦争の「白人支配からの解放」という面について賞賛する日も近いだろうね。そして孫文のアジア主義の訴えだが、中国は伝統的に日本と英米との離間を企てるのに熱心で、孫文は日英同盟にも強硬に反対していた。今の中国の日米同盟反対と同じだな。
これに東洋の王道だなんて感動してる奴は馬鹿としか言いようが無い。』
<引用終わり>


 厳密に言えば、用語や分類についてかなり問題がある部分もありますが、着眼点がすばらしく、うまく戦前・戦後の思想状況を捉えているのではないか思います。この発想は、おそらく欧米の思考法に関する大陸=演繹法・英米=帰納法という分類(これは思考法の一般的な傾向を指摘したものにすぎませんが)と地政学的な発想を組み合わせて応用したものだと思いますが、一定の条件をつければ日本にも当てはめることができることを教えられた気がしました。

 親大陸派については、日本にどの程度欧米的な観念論(演繹的思考)が定着しているのかは疑問ですが、朱子学的発想を含むという形でその幅を広げると、的確にその特徴を捉えられる気がします。岸田氏が(戦前の右翼と戦後の左翼について)「この両者は、方向は逆ですが、同種の現象である」と指摘している点も、それがいわば思考の型が同一である大陸派内部での対立だからと考えると、うまく説明できるのではないでしょうか。
 なお、朱子学の政治理論は、混乱した宋代の時代状況を反映したものか(水滸伝で有名ですねw)、極端な形式的観念論に基づく正当論に特色があり、そうした理論を支えているのが肥大化した自尊心と排外的な攘夷感情、そして現実から目を背けた自己欺瞞にあると言われている点も特徴的です。この朱子学が中国・朝鮮だけでなく、日本においても古くから少なからぬ影響を与えてきたことには注意が必要です(そもそも「尊王攘夷」という言葉自体が朱子学由来のものですし)。

 これに対して親英米派とは、実際の英米に親しみを感じるかどうかではなく地政学的発想によるものでしょうが、一般に歴史的な事実を重視し、経験的・実証的論理に基づいて判断することを好む現実主義者であるとともに、ある意味で絶対的な価値判断を嫌う相対主義者といったタイプの人が当てはまるのではないかと思っています(本来は別の名称の方が良いと思うのですが適切なものが思い浮かびません)。また、私自身は一貫してこの立場だったと思っています。

 これは個人的感想ですが、親大陸派というのは実は日本人の中では少数派で、実際には1~2割程度しかいないのではないでしょうか。ただ、マスコミはもとより知識人や評論家、(分野にもよるでしょうが)アカデミズムの世界では、その比率が飛躍的に高まるような気はします。

 他方、親英米派の立場を明確にした知識人や評論家の数は決して多くはありませんが、このタイプの人は戦前・戦後を通じて一貫した立場をとった人が多く(メジャーなところでは小林秀雄くらいしか思い浮かびませんが)、90年代までは保守論壇で発言していた人のほとんどが(山本氏を含め)このタイプであったと思っています。(9.11事件直後の小林よしのり氏の発言以降、反米保守と親米保守の対立が表面化します。私には小林氏が大陸派かどうかは判断しかねますが、小林氏の発言を読んだときの率直な感想は、長く封印されてきた保守系の攘夷派(要するに右翼)が表明化してきたのかもしれないないなぁ、と感じたことを覚えています。)

 なお、戦前・戦後を通じて、親大陸派は常にノイジー・マイノリティーであり、一方親英米派はサイレント・マジョリティーにすぎず、その結果、日本の言論空間を歪め、政治的判断をも狂わせてきたことは記憶しておくべきことです。
 最近の保守化というのも、結局はサイレント・マジョリティーにすぎなかった親英米派がネットを通じて発言するようになっただけかもしれません。

  • 2009/05/25(月) 02:05:00 |
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  • 1読者 #-
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1読者さんへ

1読者さん、いつも考えさせられるコメントをお寄せいただきありがとうございます。

>「ペリー来航は日本に対する強姦のようなもので、その結果、日本の内的自己と外的自己が分離した」という岸田氏の見方は、20年程前に初めて読んだ頃は面白いと思ったものの、最近はやや対米関係に偏重し、歴史的事実を単純化しすぎていると考えるようになりました。

1読者さんが指摘されたように、岸田秀本人も自らの考えを修正していた記述をどこかで読んだような気がします。
はて、どこで見かけたのか?ちょっと探してみてみます。

攘夷という感情は、近代日本において意識的であれ無意識的であれ、確かに重要なファクターだったのでしょうね。それを御し切れなかった、という1読者さんの見方には頷けるものがあります。

戦後の日本は、果たしてそうした感情を制御できる術を身に着けたのかどうか?成長できたのかどうか?私は、ちょっと不安に感じるのですが…。

>ただ、岸田氏が指摘している日本の不合理な行動というのは、実際には歴史的事実を詳細に見るだけで説明可能なものがかなりあります(機会があればコメントするかもしれません)。

そうなんですか?
私はどうも単純な見方に偏りがちなので、ちょっと都合が良すぎると何となく感じるだけで、なかなかそうした点をはっきり捉えることが出来ません(汗)。機会があったら是非教えていただくと参考になります。

>日本の思想対立の構造を分析する前に、自分自身の立場を客観的な視点から確認しておくことも必要なことだと思います。

私も早速やってみたところ、経済軸がちょっと左(-2ポイント)で、政治軸が(+4ポイント)となり、保守左派に分類されました。
改めて自分の立ち位置を理解することができました。ご紹介ありがとうございました。

しかし、左翼・右翼と言っても千差万別なんですよね。
わかってはいるものの、つい安易に使用してしまう癖があります。自戒せねばならないのですが、なかなか難しい…。

  • 2009/05/24(日) 22:29:17 |
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  • 一知半解 #f2BEFQoE
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 日本の思想対立の構造(1)

 いくつかの点について、雑感を述べてみたいと思います。

 「ペリー来航は日本に対する強姦のようなもので、その結果、日本の内的自己と外的自己が分離した」という岸田氏の見方は、20年程前に初めて読んだ頃は面白いと思ったものの、最近はやや対米関係に偏重し、歴史的事実を単純化しすぎていると考えるようになりました。
 先の大戦の結果から遡って考えればそうなるのも分からなくはないですが、幕末・明治維新から歴史の流れに沿って考えた場合、むしろ日本の行動を背後から突き動かしていたものの一つは、対米関係に限らない「攘夷」という排外的・土着的な感情だと考えた方が正確かもしれません。さらに、幕末から昭和の初期まで一貫した日本の最大の仮想敵国がロシア(=ソ連)であった事実にも、留意しておく必要があります。

 また、「攘夷」という感情自体は、程度の差はあっても多くの国や民族が抱くものであり是も否もありませんが、それを御しきれなかったことが戦前の最大の問題だったように思います。
 結局、終戦までの日本の歴史には、「力をつけてから攘夷を行なう」という幕末以来の願望を実現し最終的には失敗したという側面があり、その現実を冷静に受け止められるかどうかが、戦後の思想的な出発点になるような気がしています。

 なお、岸田氏が言うように、集団に対しても精神分析的手法が有効であることはフロイトも指摘していますし、マックス・ウェーバーのようにエトス(行動様式)に着目して分析する方法もあるでしょう。ただ、岸田氏が指摘している日本の不合理な行動というのは、実際には歴史的事実を詳細に見るだけで説明可能なものがかなりあります(機会があればコメントするかもしれません)。


 ところで、日本における(たとえば右翼とか左翼といった)思想的・政治的立場の区分はかなり混乱していて、レッテル貼りに多用されるわりには実態がよく分かりません。また、近年では、親米・反米という視点も入り込み、さらに複雑になっています。
 私は、自分が保守的であることは自覚していますが、親米か反米かと聞かれれば、そのどちらでもないと答えるしかありません(親日であることは確かですがw)。

 日本では、国家を家族や地域社会の延長線上にあるものと考えるのが一般的ですが、そもそも近代国家には特定の目的のために設立される人工的な組織という側面があります(当然日本にもある)。ですから、あえて何かに例えるなら、むしろ企業が近く、企業が利潤を極大化させるために行動するように(日本では企業でも共同体的に捉えられますが)、国家が国益を最大化するために行動するのは当然だと考えています(ただ、そこに理想や理念が介在しないというわけではありません)。アメリカは、この点では典型的かつ最大・最古の近代国家です。

 また、アメリカは多人種・多民族、多文化の融合によって成り立っているだけでなく、政治システムも極めて分権的な側面と集権的な面が混在し、非常に複雑です。ただ、民主国家としての政治プロセスは、複雑ではあっても透明性が高く、詳細に見れば決して分かりにくいものではありませんし、日本が関与する余地すらあります。その点では、独裁国家である旧ソ連や中国とはまったく異なっています。

 私は、個人的にはアメリカに好きな点も嫌いな点もありますが、国家としてのアメリカをそういう情緒的な視点から見ることには違和感があります。
 したがって、このような観点からは、日本のふがいなさに腹が立つことはあっても、アメリカに対して不満や怒りを感じることはあまりありません。所詮、日本とは異質な歴史的・文化的体系を持った国だと考えているからかもしれませんが。
 

 閑話休題。日本の思想対立の構造を分析する前に、自分自身の立場を客観的な視点から確認しておくことも必要なことだと思います。

 そこで、すでにご存知かもしれませんが、2005年頃に自分の思想的立場を確認しようということで、ネット上の一部のブログなどで流行った「ポリティカルコンパス」を紹介します。

 オリジナルは、アメリカの大学が個人の政治的立場を判定するために作成したアンケート調査なのですが、
Political Compass http://www.politicalcompass.org/
このオリジナルに日本人が回答すると、ほとんどがリベラルに判定されてしまい役に立たなかったため、日本語版が作られています(この点にも、アメリカと日本では思想的な対立の構造がまったく異質であることが示唆されています。ちなみに、私がやってみたときにもかなりリベラルに判定されました)。

 日本語版ポリティカルコンパスについて http://sakidatsumono.ifdef.jp/political-compass.html
 現在は<ドラフト3版>が最新のものになっていますが、私も何度かやってみたところ、経済軸(右派・左派)については、ほぼ中央のY軸線上と重なり、政治軸(保守・リベラル)については、2~4ポイント程度保守寄りに判定されました。

 したがって、この結果からは、私の立場は典型的な保守中道ということになりそうです。

  • 2009/05/23(土) 23:10:35 |
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  • 1読者 #-
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mugiさんへ

mugiさん、再レスありがとうございます。

>ただ、インド、中東は一応独立したのに対し、日本はそうではないでしょ?実際は属国のようなものだし、メディアもそう。日本で「出羽の神」が目立つのは、その違いもあると思います。

なるほど。その違いは大きいですよねぇ。
そう分析していただくと、納得できます。

>3~4年くらい前だったか、「お玉おばさん」のブログに、「素晴らしきかな、日本国憲法」という記事をTBしたことがありましたが、削除こそされなかったものの反論もしてきませんでしたね。

お玉さんは専守防衛らしいですから、他所にまで反論してこないみたいです。ただ、トラバは受け付けてくれるのですから、まだよろしいんじゃないですか。

それに比べりゃ、「村野瀬玲奈の秘書課広報室」なんかひどいものですよ。トラバは当然の如く拒否されまくってるし…。
(最近はもうすっかりトラバ処置するのも無駄なので止めましたけどね)。

でも、最近岸田秀の紹介記事「自己欺瞞と偽りの謝罪論」をUPした時は、念頭に村野瀬氏があったので、久しぶりにメール箱を使って通知(コメント拒否されているため)してみようと思ったら、「NGワードがある」とのことで送信できない。
何と私のHN「一知半解」が、NGワードになってました(苦笑)。

私も随分と嫌がられたものです。
結局のところ、異論に耳を塞いで自分の世界に閉じこもっているのが彼女にはお似合いなんでしょう。
ま、私もストーカー扱いされるのも嫌ですから、もう彼女の記事を直接取り上げるのは止めておこうと思ってますけどね。

  • 2009/05/10(日) 22:04:22 |
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  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

一知半解さんへ

レス、有難うございました。

>ただ、インドや中東では、「出羽の守」的な人たちって居るのでしょうか?

 植民地時代は「出羽の守」的な知識人が大手を振っていましたし、植民地政庁は彼らを全面支援、シンパとしていました。日本のフルブライト留学生がそれに当たります。独立後も欧米留学帰りがエリートコースとなっていて、欧米の大学の学位を取って、欧米のブランド品を所有し身に付けるのがステータス。欧米志向は日本に劣りません。こうした傾向は日本人だけではなかったのを知って、妙に安心しました(笑)。
 ただ、インド、中東は一応独立したのに対し、日本はそうではないでしょ?実際は属国のようなものだし、メディアもそう。日本で「出羽の神」が目立つのは、その違いもあると思います。

>ただ、mugiさんの鋭い批評を見てもらって、違う意見もあるんだということを彼らに分かってもらいたかったので、ご紹介させていただいちゃいました。

「潜水艦」さんの言葉を借りれば、“宗教サヨク”の連中に、違う意見など到底受け付けられないでしょう。それが出来るならば、“宗教サヨク”には絶対ならない。辺見氏はじめ日本のジャーナリストの多くは、「権力の監視」こそが己の使命だと思い込んでいるようですが、これぞ甚だしい思い上がり。しかも報道の反省や責任、人倫もない。

 3~4年くらい前だったか、「お玉おばさん」のブログに、「素晴らしきかな、日本国憲法」という記事をTBしたことがありましたが、削除こそされなかったものの反論もしてきませんでしたね。もちろん憲法マンセーではなく、いかに日本国憲法が世界で受け入れられないのか、実例を挙げ皮肉たっぷりに書いたものです。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/2acf737d04cc6fbfb468b314ae0c5498

  • 2009/05/10(日) 16:10:03 |
  • URL |
  • mugi #xsUmrm7U
  • [編集]

mugiさんへ

mugiさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

>インドや中東でも、日本とは異なるものの欧米に対するかなり屈折した感情があったことは、あちらの知識人の書からも伺えますよ。

こうした傾向は日本人だけではないのですね。
ただ、インドや中東では、「出羽の守」的な人たちって居るのでしょうか?
どうも日本人の場合、そういう人がやけに目立つような気がしてならないのですが。

>拙ブログでの辺見庸氏の記事を「お玉おばさん」のブログで紹介されていたのですね。

お礼などとんでもない。こちらこそ、ご本人の承諾もなしに勝手にリンク貼ってしまって申し訳ございませんでした。

ただ、mugiさんの鋭い批評を見てもらって、違う意見もあるんだということを彼らに分かってもらいたかったので、ご紹介させていただいちゃいました。

仰る通り、確かにあまり受けはよくなかったですねぇ(笑)。

  • 2009/05/09(土) 20:29:09 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

ブログ記事のご紹介、有難うございました!

 インドや中東でも、日本とは異なるものの欧米に対するかなり屈折した感情があったことは、あちらの知識人の書からも伺えますよ。欧米への強烈な憧れを持ち、同時に憎むといった相反する感情に引き裂かれているのです。そして誇り高い誇大妄想的な内的自己が高じるといったパターン。自国より欧米の言語や文化を尊重する知識人も珍しくなかった。現代のムスリムも自爆テロまではやらずとも、近代はもちろん十字軍の遺恨から解放されていない。

>対中国・北朝鮮を考えて親米姿勢を取ってはいるものの、本音では左翼同様、アメリカが嫌いなんでしょうね。

 私自身もこれに含まれると思います。インドや中東のようなマイナーなテーマに関心を持つのも、元からのへそ曲がり以外に、内心は欧米への反発もあります。

 ところで最近ネット検索で偶然知ったのですが、今年の3月頃、拙ブログでの辺見庸氏の記事を「お玉おばさん」のブログで紹介されていたのですね。有り難うございました。もっともあのブログでは、私の記事はさぞ受けが悪いでしょう。辺見氏ファンの「ま」氏、不快そうで。「ま」氏も辺見氏に対する批判があるのは分っているようですが、「主観的な論評」と己の主観を展開していたのは苦笑しました。

 これぞ「メディア脳」の見本ではないでしょうか(笑)。「氏の本を読んでから自分の頭で非難すべきでしょう。それが自覚的に考える第一歩…」など、「ま」氏に求められる。本の受け止め方など十人十色ということも認識できないようで、辺見信者にちかいのでは。権威にすがり、自分の頭では物事を考えられない人々こそ、「宗教」に簡単に騙される。
 辺見氏の本「もの食う人びと」なら以前見たことがあり、まあまあでしたが、河北新報のコラムは実に下らない。「ま」殿によれば辺見氏は「クソ蠅」と最近の同業者を揶揄していたそうですが、その先輩で後進を指導したのは氏自身。人倫や反省こそ、氏に求められる。

 拙ブログにコメントしてきた人など、辺見氏をさらに辛辣に切り捨てています。「その場凌ぎで、ちょこっと気の利いた文句を並べておるだけ」「デモーニッシュな現実直視もできてはおらず、欺瞞としても二流、三流」「小綺麗な服を着た犬儒主義者みたいなもん」。

  • 2009/05/08(金) 22:56:58 |
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  • mugi #xsUmrm7U
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安定志向、日本の成長性、スパイラル(4)

隣の家にあるが うちにはないもの。 冷蔵庫、洗濯機、掃除機、 そしてオーディオ、テレビ・・・。 1980年代までにほとんどの家庭にも 揃ってしまった

  • 2009/05/10(日) 12:03:52 |
  • ろーりんぐそばっとの「ため口」
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一知半解

Author:一知半解
「一知半解知らずに劣れり」な自分ではありますが、「物言わぬは腹ふくるるわざなり」…と、かの兼好法師も仰っておりますので、ワタクシもブログでコソーリとモノ申します。
一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
日々のツイートを集めた別館「一知半解なれども一筆言上」~半可通のひとり言~↓もよろしゅう。

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