一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

言葉と秩序と暴力【その1】~アンチ・アントニーの存在を認めない「日本軍」~

ちょっと前の話になりますが、ブログ「超左翼おじさんの挑戦」のコメント欄において、共産党員である理さんという方が、菅談話に絡めて従軍慰安婦問題に対する保守派の対応を批難していました。
左翼にありがちな主張でしたので、次↓のように反論しました。

http://chousayoku.blog100.fc2.com/blog-entry-542.html#comment5831

上記反論の要点は二つ。

・自分自身に適用しない基準を他(日本国)に押し付ける偽善性について。
・自分の主張を通す為には、相手を罵倒し口を封じることも当然と考えていることについて。


つねづね左翼との討論をしていて濃厚に感じるのが、かなりの確率で反省とか懺悔を強要してくること。
実はこれ、日本軍のやり方と同じなんですよね。
反省を強要しながら相手の口を封じるやり方が。

日本陸軍の下級将校であった山本七平は、次のように言っています。

陸海を問わず全日本軍の最も大きな特徴、そして人が余り指摘していない特徴は、「言葉を奪った」ことである。』と。

そこで、今回から何回かに分けて、このことについて述べている山本七平の記述を紹介して行きながら、「反省を強要しながら相手の言葉を奪う」ことが、日本社会にどのような影響を及ぼしているのかについて考察していきたいと思います。

まず、ご紹介するのが、過去記事『アントニーの詐術【その6】~編集の詐術~』でもご紹介済みの下記記述を再掲します。

ある異常体験者の偏見 (文春文庫)ある異常体験者の偏見 (文春文庫)
(1988/08)
山本 七平

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(~前略)

確かに偏見とか偏向とかは非常にこまったことだが、これを是正する方法は実は一つしかないのである。

それはアンチ・アントニーの存在を認める」という以外にない

すなわちシーザーの死体の頭のところにアントニーが立って、事実・事実・問いかけ、をくりかえしていると、同時にシーザーの死体の足のところに「アンチ・アントニー」が立って、同じような方法で、アントニーの言う「事実」に反する「事実」を、同じように、事実・事実・問いかけという形でのべる以外にない。

ここで聴衆は、相反する二つの事実を示されることによって、「自分の判断」ができるはずである。

従って真に「偏向」しているものは何かといえば、それは「アンチ・アントニー」の存在を認めず、あらゆる方法でそれを排除し、その口をふさいでしまう者のはずである。

日本軍は絶対に「アンチ・アントニー」の存在を認めない

従って、この存在を認めない者を、私は日本軍同様と見なす
それが何と呼ばれていようと――。

(後略~)

【引用元:ある異常体験者の偏見/アントニーの詐術/P99~】


山本七平的観点から見れば、良心的日本人であろうが何であろうが、アンチ・アントニーの存在を認めず、排除封殺する人間はすべて日本軍同様です。

したがって、前述の理さんもその素質が十分あると見て良い。
如何に良心的日本人を演じていようが、異論を排除封殺しようとする人間は「日本軍」なのです。

そうした人間が、反省を口にする。
まさしく、「反省という語はあっても反省力なきこと」を地でいくようなものです。

さて、次回より、著書「一下級将校の見た帝国陸軍」から、言葉を奪うことが如何なる状態をもたらすのかについて書かれたフィリピンでの戦犯容疑者収容所での捕虜社会の惨状についての記述を順次紹介していく予定です。
ではまた。


【関連記事】
◆言葉と秩序と暴力【その2】~「戦犯収容所」の”暴力政治”の実態~
◆言葉と秩序と暴力【その3】~日本軍捕虜の「暴力的性向」を嘆いた日本人~
◆言葉と秩序と暴力【その4】~自ら”秩序”立てるイギリス人~
◆言葉と秩序と暴力【その5】~日本人の秩序は「人脈的結合」と「暴力」から成る~
◆言葉と秩序と暴力【その6】~日本的ファシズムの特徴とは「はじめに言葉なし」~

◆アントニーの詐術【その6】~編集の詐術~
◆「トッツキ」と「イロケ」の世界【その5】~二種類いるトッツキ礼賛者~


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一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
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