一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

洗脳された日本原住民【その2】~日本人がフィリピン人のように見えた理由とは~

かなり間があいてしまいましたが、前回の記事『洗脳された日本原住民【その1】~宣撫工作に利用された「日本国憲法」~』の続き。

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(1988/08)
山本 七平

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前回の続き)

では一体マック制の基本はとこにあるのか。

これの基本は、あらゆる軍事占領体制と同じであり、その底にあるものは一種の軍国主義的絶対主義である。

私が比島に行ったときは、いわゆる「緒戦の大勝利」の後で、いわば「進駐軍」の一員として現地にいった。
当時フィリピンは東亜解放の一環として解放軍=日本軍に解放され、ホセ・P・ラウレルを大統領とする「独立国」であり、われわれはそれを守るためにいるというのが「タテマエ」であった。

私はそこで、「占領軍」と「原住民」との関係を、占領軍の側から見た。

そして戦争が終って一年半後に日本に帰ったとき、私は「占領地日本」の「原住民」の一員であり、今度は「原住民」の側から占領軍を見た。

この転換は非常に奇妙な印象として、私のみならず、多くの人に残っているはずである。

日本人がみんなフィリピン人のように見える
日本人はいまに全員フィリピン人のようになってしまうのではないか

祖国の第一印象をこのように感じかつ語った人は非常に多かったはずである。

なぜそう見えたか、いろいろの理由があるであろうが、その大きなものの一つは、その時までわれわれは「占領地の原住民」を体験しておらず、常に「進駐軍の側」から原住民を見ていた。

そしてその視点で「占領地日本の原住民」を見たので、占頷下のフィリピン人と全く同じように見えたことも一因であろう。

ついで占頷下の一員となり「占領地日本の原住民の一人」として占領軍を見るということになった。

同じような占領という事態を立場を全くかえて「占領した側」と「された側」の双方から見る結果になったわけだが、そのように見ると、やっていることの基本は、両者全く同じに見えた。

占領地統治は、どういう外観を飾ろうと結局は「軍政」である

軍政はどういう形態をとろうと、もちろん何もかも軍人がやるというわけではない。
軍隊には行政能力はなく、治安の維持という警察の機能も持たない。

これはよく誤解されるが――。
いわば常に「面」は支配しえないのである。
一個師団といっても一万五千人にすぎず、ちょっとした球場のスタンドすら満席にできない数である。

これを民衆という大海にばらまいても何の威力も発揮しえないから、占領他の「原住民の政府」の背後にあってこれを威圧統制し、同時に民衆を間接的に威圧するという形になる、が同時に自分はなるべく姿を現わさない

これがいわば軍政の基本型で、この基本型においては、マックも日本軍も同じである。

軍政と民主主義とはもちろん絶対に相いれない

「原住民の政府」がいかに民主的外観を装っても、最終的な決定権は「軍」が握っているのであって、投票が握っているのではない。

ところが戦後の日本は、軍政と民主主義の両立・併存という非常に奇妙な形で出発した

この絶対に両立し得ないものが両立しているかのように見せるには、その背後で密かに民主主義の根本を除去してしまうこと、すなわち一つの詐術が必要であった

それがプレスコードである

言うまでもなく民主主義の原則は言論の自由である。
そして言論の自由の前提は、多種多様な視点からするさまざまな情報の提供である。

マックはこの根本を完全に抑えた

戦争直後人びとは言論が自由になったように思い、戦争中のうっぷんを一気に吐き出すことを、言論の自由と錯覚していた。

しかしその背後には、情報の徹底的統制と直接間接の誘導・暗示、報道・論説という形の指示があり、人びとは、それを基本にして声を出しているにすぎなかった

そういう形の言論の自由なら、どこの占領地にもあっただけでなく、大いに奨励された。

これが宣撫工作である。

(次回へ続く)

【引用元:ある異常体験者の偏見/洗脳された日本原住民/P222~】


今回ご紹介した部分は、軍政とはいかなるものなのか、その基本型について説明しています。
マッカーサーが行なった軍政(マック制)が、日本で上手く成功した理由として「プレスコード」の存在が挙げられています。次回はこのプレスコードの内容について触れた部分を紹介して行きます。
ではまた。

【関連記事】
◆洗脳された日本原住民【その1】~宣撫工作に利用された「日本国憲法」~


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コメント

Fugenさんへ

Fugenさん、こんばんは。
遅くなりましたが、お知らせコメントありがとうございました。
早速、貴ブログ拝見させていただきました。
これからもよろしくどうぞ。

  • 2013/01/06(日) 23:32:15 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

御礼

<<宣撫工作としての『東京裁判』:(山本七平著)『ある異常体験者の偏見』より >>
http://ameblo.jp/fugen-blog/entry-11439829971.html

と言う記事を書くのに参考にさせて頂きます。御礼申し上げます。

  • 2013/01/01(火) 20:06:02 |
  • URL |
  • Fugen #-
  • [編集]

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